GWが終わって少し経ち、じりじりと暑くなってきた日。ひろしま美術館のみんなのレオ・レオーニ展へ。子供の頃からよく読んでいたので、なつかしい気持ちでいそいそと出かけてきました。
色鮮やかで、多才!
地下の展示室へ降りると、油彩画が展示されています。流れている映像は、彫刻を作っているレオーニ氏のインタビュー。あまりに既知のイメージと違うので不安を感じつつ奥へ進むと、よく知った絵本の原画がずらりと並んでいました。
変わり者のねずみが主人公の『フレデリック』。別々に作ったパーツを張り合わせて描かれているのですが、絵本で見るより立体的で、紙の重なりがよく分かります。変わって、次の作品はオール色鉛筆。その後も油彩や水彩、鉛筆……と作品ごとに様々な画材が使われていました。
驚いたのは、画材が変わっても作品の印象が変わらないこと。どの手法も自分のものにしているんですね。表現によって使い分けているんだなあと感心しきりでした。
後半では、モノタイプの作成風景が動画で解説されていて釘付けになりました。『スイミー』で使われている技法で、ガラス板に絵の具を塗り、紙に押し付けて転写します。偶然の要素が強いのでどんな柄になるかはやってみてのお楽しみ。転写された紙の中からピンときたものを選んで、岩や葉などの形に切って貼り、絵を作ります。この様子がすごく楽しそうで、わたしもやりたくなりました。
何者であるのか、何者になるのか
キャプションを読むと、多くの作品にアイデンティティについての記述があることに気づきます。たしかに、レオーニ氏の作品にはみんなと違った存在を描いたものが多いのです。赤い兄弟たちの中で一匹だけ黒い魚や食料の代わりに色や記憶を集めるねずみ。立って歩いたワニやカエルの真似をした魚など、自分と違うものになろうとすることもあります。
こうした特徴は、レオーニ氏がユダヤ系であることに起因するのではないかと語られています。彼が生きたのは、ナチス・ドイツによってユダヤ人が迫害された時代。レオーニ氏も第二次世界大戦中にアメリカへ亡命をしています。
ユダヤ人迫害の歴史は古く、紀元前13世紀頃まで遡れるほど。旧約聖書にも書かれているできごとですから、ユダヤ系に生まれたことがアイディンティティの形成に関わるのは、当然の帰結と言ってもいいのかもしれません。
あまり知られていない一面も
この展覧会では、絵本作家としてのレオーニ氏とは違う側面も紹介されています。その最たるものが『平行植物』のシリーズ。
想像上の植物をモチーフにした油彩画や彫刻などが展示されていました。中でも彫刻は圧巻。横は両手を広げたくらい、高さは腰の辺りまであり、かなり大きくて存在感がありました。
わたしが一番好きだったのはスケッチの展示。ボールペンで描かれた下書きで、A6くらいのリフィル1枚につき植物が1つ描かれています。手帳好き、ペン画好きの人には絶対刺さると思うので、心当たりのある人にはぜひ見てほしい。
遊びごころのある什器や展示
中に入った瞬間、大人がたくさん座っていて何事かと思ったのですが、絵本が読めるコーナーが数カ所に設置されています。数もたくさん揃っていたので、つい座って読んでしまう気持ちがよく分かる。他にも動いたり音が出たりする展示がいくつか作られていました。
必ず2人以上で見て欲しいのが映像展示のコーナー。『あおくんときいろちゃん』の表紙のような絵が投影されています。この映像、人に反応してあおくんやきいろちゃんが映し出されるのですが、人と人が近づくと、画面のオブジェクトもくっついて混色されるのです! 遊び心がある〜!
おわりに
なつかしい絵本や美しいイラストがたくさんあり、楽しく鑑賞することができました。今回は展示室が1つ使われていなかったので、いつもよりボリュームが少なめなのかしら。集中しても1時間くらいで見られたので、気軽に出かけるのによいかもしれません。
みんなのレオ・レオーニ展
- 開催期間:2019年4月20日〜6月2日
- 開催場所:ひろしま美術館
- 広島県広島市中区基町3-2
巡回情報
- 2020年2月28日〜
5月10日4月9日 - 沖縄県立博物館・美術館
- 2019年12月7日〜2020年1月19日
- 長島美術館(鹿児島県)
- 2019年7月13日〜9月29日
- 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(東京都)
- 2018年10月6日〜12月16日
- 新潟県立万代島美術館
- 2018年8月11日〜9月24日
- 伊丹市立美術館(兵庫県)